突然ですがあなたは、
「新渡戸稲造(にとべいなぞう)」
という人物をご存知ですか?
一般的な日本人にとっては
あまりメジャーではないこの人物ですが……
バイリンガルである僕やあなたは
必ず知っておかなくてはならない人物です。
今の五千円札の人は
「たけくらべ」を著した樋口一葉ですが、
旧五千円札に載っている人物は
「武士道」を著した新渡戸稲造なんですね~。
ゆとり世代の僕にとっても、
「旧五千円札」は馴染みがある紙幣なので、
さすがに「見たことない」という人は
いないと思いますが……
それでも五千円札の人物が
樋口一葉に変わったのは
2004年のことです。
2017年の現時点で、
あれから13年も経過していることに
まさぽんは驚きを隠せません…!
すなわち、2017年の現時点で
あなたが中学2年生以上であれば、
必ず「旧五千円札の人」を
一度は見たことがあるはずなのです。
まあそんなことはさておき、
今回の記事では、「旧五千円札の人」である
新渡戸稲造の魅力について語っていきます。
※ タイトルとは裏腹に、けっこうシリアスなテーマです。
旧5千円札の人のプロフィール
しつこいようですが、
この「旧五千円札の人」の名前は
新渡戸稲造(にとべいなぞう)と言います。
※ ちなみにそれ以前の五千円札は聖徳太子。
彼は若者にはあまり知られていませんが、
日本の教育者であり、思想家。
「武士道」という本を高度な英語で書き、
世界に日本の存在を知らしめることになりました。
彼は古より日本人が持つ武士道精神を
正確に海外へと普及させた、
とてつもなく偉大な人物なのです。
● 新渡戸稲造の生涯
新渡戸稲造は、「太平洋の架け橋」
として、国際平和を強く希求し、
生涯を通じて身を捧げた人物です。
1862年(江戸時代)
⇒ 現在の岩手県盛岡市に生まれる。
※ 幼少期は、学校で武芸や教育を受けつつ
家族や医師から英語を学んでいました。
1873年
⇒ 東京外国語学校英語科に入学し、
英語を本格的に学ぶ。
1877年
⇒ 札幌農学校(現在の北海道大学)に入学し、
父祖伝来の農業を本格的に学ぶ。
※ 熱くなりやすい性格のため、教授との議論が
白熱してくると、殴り合いの喧嘩になることもあったそうです。
※ この頃からキリスト教にものめり込み、敬虔さを隠さなくなります。
また、視力低下により眼鏡をかけたのもこの頃だとされています。
⇒ 農学校を卒業後、学問を志して帝国大学へ入学。
※ これは現在の東京大学ですが、当時の農学校と比較した
東大の研究のレベルの低さに彼は失望し、あっという間に退学します。
1884年
⇒ アメリカのジョンズ・ホプキンス大学に入学。
※「太平洋の架け橋になる」という新渡戸の思いは、
この当時に生まれたもので、彼は私費留学を実行します。
当時、日本人で留学をする人はほとんどいませんでした。
1887年
⇒ ドイツのボン大学に留学し、
農政や農業経済学を学ぶ。
⇒ その後の新渡戸稲造は、
大学教授、校長、学長と各学校を渡り歩き、
教育の道に携わり続ける。
1920年
⇒ 国際連盟事務次官に就任
※ ついに彼は太平洋の架け橋として、
日本と世界をつなぐ存在となりました。
●「武士道」を著す
新渡戸稲造(旧五千円札の人)は、
札幌農学校の教授時代に、
アメリカ人の妻と一緒に体調を崩してしまいます。
「武士道」はその療養生活中に著したものですが、
当時はカリフォルニアに移住したこともあって、
内容はすべて英語で書かれました。
この本は英語以外にも様々な言語に翻訳され、
ここから日本の当時の武士道精神は、
アメリカをはじめとする世界中に伝わりましたが、
同時に彼自身も「太平洋の架け橋」として
世界中に名が知られることになり、
国際連盟の事務次官として活躍を果たしました。
また、この書籍は米国の
セオドア・ルーズベルト大統領なども読んだらしく、
その内容に深く感動し、何十冊も購入して
知人に配りまくったそうです。
日本人にとっては当たり前の精神でも、
それを欧米視点から解説を施したというのが
大きなポイントだったのでしょう。
日本の根源となる「和の精神」の海外普及は、
この書籍がベースであると言っても
決して過言ではありません。
そこで描かれた侍の武士道精神は、
今なお世界中の人々に読まれており、
2003年に放映された映画
「ラスト・サムライ」などでも、
その根源的な精神は受け継がれています。
・名誉は命よりも重い
・侍に二言は無い
と、「義」を重んじていた日本の心は
今の日本ではそのほとんどが、
失われているような気がしますね。
残念ながら、現代は平気で嘘をつく人や、
発言の責任をとらずに逃げ回る人が
多く存在していることが否定できないからです。
彼の英語力は生半可ではない
彼の著した「武士道」は、
全部で17章で構成されており、
倫理・義・礼儀・誠実・女性など
実に色々なテーマで日本の魂が
語られています。
ただしそれらは、
日本の「武士」と西洋の「騎士」とが
対比して描かれており、
日本の憲法と西洋の憲法(マグナカルタ等)
とが対比して描かれており、
日本の神道と西洋のキリスト教とが
対比されていたりもするので、
西洋文化の知識を持たない
一般の日本人には、非常に読みづらく感じます。
正直なところ、この「武士道」は
原文のままでは、僕にも読めません。
というか、本気で読もうと思えば
少しは読めないこともないのですが、
英語自体が古文調になっていたり、
高度な概念や背景知識が必要となるため、
読むには困難を極めるというわけですね。
原文で武士道を読めたらカッコイイですが、
よほどの人でない限りは無理です(笑)
それでも実際に、この書籍を著したのは
他でもない日本人の新渡戸稲造ですから、
彼の有する英語力がどれほどのものだったか、
想像を絶すると言えるでしょう。
実際に原文を読んでみると、
「デルフィはこう述べている…」とか
「ラマルティーヌによれば…」とか
『え、誰?』とツッコミを入れたくなるような
知らない西洋人の名前が頻繁に登場します。
さらには、キリスト教の特有概念とか、
中国の孔子・孟子の発言を前提として
高度な説明がなされていたりもするので、
よっぽど教養のある人以外は、
日本語で読んでも意味不明な状態に陥ります。
ニーチェと武士道精神の共通点なども
語られていたりするので、
哲学を学んでいる人には少し面白いかもしれません。
たとえば以下の文がそれに該当します↓
Nietzsche spoke for the samurai heart when he wrote, “You are to be proud of your enemy; then, the success of your enemy is your success also.”
(二―チェが、「汝の敵を誇りとすべし。しからば敵の成功はまた汝の成功なり」と云えるは、サムライの心情を語れるものである。)
なぜわざわざ新渡戸稲造が、
西洋の哲学者を引き合いに出すかと言えば、
それは当時のアジア人が、
西洋人から人種差別的な侮辱を
受けていたからですね。
アジア人が初めて白人に戦争で勝ったのは
1904年の日露戦争でしたが、
その時からようやく、
世界における日本の存在感は
高まってきました。
「黄色人種が白人に勝ったぞ!」
という評判は、海を越え山を越え、
中東で次々に革命が起こる原動力にもなります。
また、当時は「武士道」が出版された時期と
ややかぶるのですが、
ロシアに勝利した極東の小国を研究すべく、
「武士道」がヨーロッパ全体に普及し、
各国の言語に訳されることになります。
How the much abused oriental ideas of morals find their counterparts in the noblest maxims of European literature.
(多くの非難を浴びせられたる東洋の道徳観念の中にも、ヨーロッパ文学の最も高貴なる格言と符節を合わせるものあるを発見するのである。)
↑こんな風に、当時の新渡戸稲造は
日本が世界からどのような扱いを受けているか
存分に把握していたのですね。
新渡戸稲造は、
「日本が世界最高の神国だ!!」といったような
強引で品のない宣伝をするわけではなく、
あくまで西洋の文明を尊重したうえで、
彼らに分かりやすく日本の価値観を
伝えようとする様子が見て取れます。
実際に武士道を紹介する際の語り口は、
以下のようなソフトなものです↓
Chivalry is a flower no less indigenous to the soil of Japan than its emblem, the cherry blossom; nor is it a dried-up specimen of an antique virtue preserved in the herbarium of our history.
(武士道は日本の国土に咲く固有の花であり、それを象徴するのは桜である。それは我が国の歴史の標本として保存されている古代の徳の干乾びた見本ではない。)
It furnished a sense of calm trust in Fate, a quiet submission to the inevitable, that stoic composure in sight of danger or calamity, that disdain of life and friendliness with death.
(武士道には、運命に対する安らかな信頼の感覚、不可避なものへの静かな服従、危険や災難を目前にしたときの禁欲的な沈着さ、生への不執着、死への親近感が見て取れる。)
ちなみに上記の文を訳したのは僕ではなく、
こちらのサイトにある翻訳文を
引用しているので、少し格調が高いと思います…。
そんなわけで新渡戸稲造は、
国際連盟の事務次官となり、
太平洋の架け橋として活躍をしていました。
大日本帝国が世界に打ち出した人種差別撤廃案は、
この新渡戸稲造が提唱したものですが、
当時のアメリカによって否決されます。
さらに1931年に起きた満州事変をきっかけに、
大日本帝国は世界から孤立し始め、
ついには国際連盟を脱退してしまいます。
その後の1933年には、
カナダの国際会議において
スピーチを成功させるものの、
新渡戸稲造は志半ばで帰らぬ人となり、
日本は世界大戦に突入します。
新渡戸稲造が「太平洋の架け橋」として
最も望んでいたことは何かといえば、
それは紛れもなく
「国際平和」でした。
日本という国は、資源もなく、土地もなく、
海外からの輸入を絶たれてしまえば
たちまち弱体化してしまいます。
実際に、日本が第二次世界大戦で
あのような状況下に置かれてしまったのも、
世界から日本が孤立したためだと言えます。
だからこそ、世界から孤立することだけは
現代においても、避けなければならないというのは
我々日本人の鉄則でもあります。
それゆえ、日本政府は今でも
アメリカや中国からの強気な圧力に対し
反発することができません。
非常に難しい問題ではありますが、
日本という国は、世界の同意なくして
やっていけない国でもあるのです。
だからこそ、国際政治というのは
一筋縄ではいかない難しさを備えており、
世界とのコミュニケーションを
もっともっと強化しなくてはなりません。
これほどの英語力を有した新渡戸稲造でも、
日本が世界から孤立することを
止めることはできなかったのですから、
「英語が喋れない」などというのは
もはや論外だと言ってもよいでしょう。
手厳しい言い方になりますが、
日本人は世界と上手くやっていくために、
もっと英語力、および英会話力を
強化していく必要があると考えています。
新渡戸稲造の「武士道」ほどではなくとも、
誰もが日本の精神や歴史について
英語で熱く語れる程度にはなる必要があります。
それをできなければ、
日本はこのまま外国に乗っ取られ、
弱体化してしまう危険があるからです。
昔のバイリンガルは偉大だった
海外では、「サムライ」「ニンジャ」が
やたらと人気がある傾向がありますが、
それだけ外国人にとっては、
彼らの生きざまが美しく見えるということです。
実際、海外に出てから日本が好きになるという
日本人は比較的多いですが、僕もその一員です。
それは世界の現状を改めて知ることで、
この日本という国がどれほど恵まれているかを
痛感することになるからですね。
なのに、いざ海外に出てみれば
僕ら日本人は、自分の国について
ほとんど知らないことに気付きます。
「なぜ日本人はお辞儀をするのか?」
「なぜ日本人は部屋で靴を脱ぐのか?」
という簡単な質問でさえ、
外国人に説明できる日本人はまれなのです。
● 今こそ「使命感」を大切に
祖国を守り、その価値を伝えるために
英語を用いて海外に飛び立つという使命感を
抱いた新渡戸稲造ですが、
昔のバイリンガルというのは、
「国を背負って立つ」という気概に
溢れていたように思えます。
すなわち、日本について質問されたら
何であっても詳しく説明できるのが当たり前で、
日本人の誇りを傷つけるような発言に対しては
武士のように正々堂々と、
真っ向から挑むのが当たり前だったのです。
もちろん例外はあったと思いますが、
昔の日本人が英語を学ぶのは
そういう使命感が大きかったと思います。
それに比べると、
現代の日本人はどうでしょうか…?
一見すると「善良な人」であっても
お金が絡んでくると、突然人格が変貌し、
道義を重んじなくなってしまうことがあります。
某ベンチャー企業の社長は
日本で悪いことをしたにも関わらず、
責任を取らずに海外に逃亡するし、
経団連は自分の利益のことしか考えず、
外国人を低賃金で単純作業をさせるように
政府に圧力をかけ続けていたりします。
これが何を意味するかと言えば、
「自分の利害しか考えない」人が
増えてしまっているということです。
ネットを開けば他者の悪口や
社会への不満ばかりが転がっており、
保育園に落ちた人は「日本●ね」と言い、
野党や反日勢力は「政府を倒せ」と言います。
大学生は学問よりもサボることを優先し、
純粋に国を支えるための授業風景が
展開されているとはとても思えません。
会社員はパワハラ、セクハラ、
陰湿ないじめが横行しており、
無駄な会議や資料作成などで
大きく生産性を落としています。
留学をする人間は、
海外で何かを学ぶことよりも、
現地で遊びまくることを重視します。
真剣に英語を学びたい、という人は
今や限りなく少数派になってしまいました。
現代における英語教育は、
興味や使命感、夢を叶える手段というよりも、
単なる義務感に基づいています。
「なぜ英語を学ぶのか?」と聞かれても、
多くの学生は、その理由を答えられず、
受験で使うからという他にありません。
「なんとなくカッコイイから」とか
「将来は海外を飛び回りたいから」とか
具体性に欠けた回答しかできないのが、
現代のバイリンガルの大多数なのです。
もちろん、英語を学ぶ動機としては
それでも十分だと僕は思います。
「英語カッコイイじゃん」という動機でも、
最初のうちは全然、構わないと思うのです。
ただ、学習のレベルに応じて、
あなたの英語習得の理由も
より高度にしていく必要があるんですよね。
● 発展途上国の人を見習ってみる
未来の日本を良くするため、
日本と言う国を強くするために
英語を学んでいる人は、
果たしてどれだけいるのでしょうか?
今回、ご紹介した新渡戸稲造以外にも、
たとえば内村鑑三や福沢諭吉など
日本を代表するバイリンガルは数多く存在します。
そして当時の日本は、
まだ世界的にもあまり名が知られておらず、
経済大国という位置づけからは
遥か遠い段階にあったのです。
今では先進国となった日本ですが、
どちらかと言えば発展途上国時代の日本の方が
よほど気概に溢れた人は多かったはずです。
新渡戸稲造自身も、「武士道」にて
このように述べています↓
人は誰しもいったん
安定した世界に身を置くと、
精神もそれにならって俗化し、
理想を忘れてだんだん
怠惰になっていくようだ。青春時代に描いた夢や理想とは、
かけはなれた生活をしながらも、
自分を磨こうという気持ちすら忘れ、そのぬるま湯の
心地よさにいつしか慣れて、
満足に本も読まず、
堕落した生活を送るように
なっていくのである。
僕ら若者(ゆとり世代)は、
「安定」を第一優先する傾向がありますが、
実際に「安定」を手にしてしまうと、
現状をより良い方向に改革するための
原動力を失ってしまうんですね。
だからこそ、現在進行形で発展を遂げる
インドや中国、東南アジア等の人々を見習い、
日本の若者も、もう少し「気概」というものを
持ってみても良いのではないか、と思います。
叫びながら英語を学ぶ、中国の教育の動画を
僕は何かで見たことがあるのですが、
そのなんとも言えない気迫は、
日本人の英語教育を圧倒するものがありました。
基本的に、日本人の中高生って
授業には受け身のスタイルだし、
やる気もあまり高くないですよね。
それはなぜかって、
別に英語を必死で学ばなくとも、
そこそこ安定した生活を送れるからです。
しかし、中国の英語教育の様子には、
「英語ができないと野垂れ死ぬ」くらいの
覚悟と気迫が感じられました。
こうした「若者の気概の差」というのは、
今すぐではなくとも数年~数十年単位で、
確実に形になって表れてくると思います。
実際、東京都内のベンチャー企業は
日本人よりも外国人を「優秀」だとして
積極採用するところが増えているようです。
すなわち、すでに日本の状況は
悪化しているということです。
きっちり英語を身に着けておかなければ、
あなたも今ある「安定」すら、
失ってしまうかもしれません。
先日、僕の最寄り駅でも
東南アジア系の外国人の姿が
ちらほらと見られるようになりました。
英語ができればすべてうまくいく、
というわけではありませんが、
これからは冗談抜きで、
「英語くらい出来なきゃ話にならない」
という時代が来るかもしれません。
それは何も、
「日本に外国人が増えるから」
という単純な理由ではなく、
英語・英会話を駆使できる人材でなければ
日本の会社にも採用されなくなり、
高給な仕事がどんどん外国人に奪われてしまう、
という状況を意味しているのです。
だってグローバル化が進んだ現代では、
世界の会社と取引をするために必要な人材を
残す必要がありますからね。
それゆえ最悪の場合、
日本にあるハイレベルな仕事は
そのほとんどを外国人が受け持つことになり、
きつい・汚い・危険の「3K労働」を
日本人がやらされる、ということになります…。
もちろんこれは最悪の場合ですから、
少し極端な思想も混じっています。
が、そろそろ日本人は
「平和ボケ」を卒業すべき時に
来ているのかもしれませんよ。
もしもあなたが今回の記事を読んで
何か強く思うことがあるとしたら、
今すぐに、何か行動を起こしてください。
今すぐに、です…。
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多様な情報やエピソードを通して、
あなた自身のペースで進んでいける内容です。
このメルマガを通して英語の勉強を続けることで、
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一緒に学びながら、
少しずつ前に進んでいけたら嬉しいです。
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