あなたは「クリティカルエイジ」という
言葉を聞いたことがありますか?
8~13歳が言語を習得するための適齢期で、
それを過ぎると新たに言葉を習得するのが
急激に難しくなる、という仮説です。
日本では、苫米地英人さんという方が
最初に提唱した概念ですが、
これはあくまで「仮説」に過ぎません。
世間でしばしば言われがちな、
「オトナでは、英語を習得するのは難しい…」
という俗説は、ここから来ています。
また、自分のお子様を
幼児向け英会話教室に通わせたがる根拠も、
主にこのクリティカルエイジから来ています。
何度もしつこく言っておきますが、
「仮説」ですからね、これ。
なので、唯一絶対の理論というわけではなく、
それが正しいと証明された訳でもありません。
ちなみに英語圏では、
クリティカルエイジという用語は使われず、
“Critical Period Hypotheses“(臨界期仮説)
という用語が使われたりもします。
当たり前の話ですが、
幼少期に英語圏に住んでいた人の方が
英語をペラペラになりやすいのは確かです。
でも、英語を話せる日本人が、
子供の頃から英語を学んでいた、
ということはありません。
むしろ幼少期にはほとんど英語に触れず、
大人になってから英語学習をスタートさせ、
英ペラ状態になってる人は普通にいます。
大学卒業時点ではTOEIC 200点台だったのに、
猛烈な勢いで英語学習を開始した結果、
今では同時通訳として活躍する日本人もいます。
こういう事例は探せばいっぱいあるので、
まずは「英語を諦める必要はない」と、
強く強く心に思い描いてみて下さいね!
クリティカルエイジは克服できる。
クリティカルエイジという用語について
詳しく説明してみると、
以下のような感じになります。
————————————————-
脳には「可塑性」という機能があり、
これは脳内の神経回路を効率良く運用するため、
使用頻度の低いニューロンの効率を
あえて下げるという働きのことを指す。
この「脳の可塑性」という機能が、
思春期以降には形成されにくくなるため、
その時期に新たに語学を習得しようとしても、
非効率的な学習となってしまう。
————————————————-
・・・やや分かりにくい説明なので、
3回くらい読み返してみて欲しいのですが、
これは要するに、
「思春期以降は、言語を効率的に習得するための脳の機能が劣化する」
ということを意味します。
僕ら日本人が、日本語を習得しているのは、
子供の頃から日本語をしょっちゅう使うので、
脳が「この言語は重要だ」と認識するからです。
特に意味が分からなかったとしても、
単純記憶能力のレベルが非常に高いので、
言葉を聞いたまま、使いこなせるのです。
子供が大人の発した口癖などを、
そのまま公共の場でも使ってしまうのは、
この単純記憶能力が高いからです。
なので、文法の説明などをされなくても、
ただ頻繁に耳にして、使いまくっているだけで、
自然と脳が日本語を覚えてしまうってわけです。
そうした脳の働きを根拠として、
クリティカルエイジの概念を提唱した人は、
「言語能力は8~13歳が最も伸びる」という
仮説を立てているわけですね。
なので、この時期において、
家庭環境が他人の悪口ばかりだったりすると、
子供は口の悪い大人に育つ傾向があります。
家庭や学校などの環境で使われる言葉を、
子供がありのまま受け継いでしまうので、
ことばの教育には注意する必要があるのです。
ちなみにこのクリティカルエイジでは、
ヒトの運動神経も最も高まりやすい時期である、
という主張もなされています。
それゆえアメリカ人は、
子供をアメフト選手に育て上げるため、
幼少期からトレーニングをさせます。
日本でも息子を野球選手に育てるため、
小さい頃からキャッチボールをしたり、
少年野球団に参加させたりしますよね。
すべては「脳の可塑性」が根拠ですが、
要するに子供の頃に学んだことを、
あなたの脳は大人になってからも
重要視する、というわけです。
◆ クリティカルエイジは “克服” できる。
ですがこの概念を提唱した人、
すなわち苫米地英人さんは、
「クリティカルエイジは克服可能」
といった趣旨の発言もされています。
これを簡潔に説明するならば、
大人専用の脳を新たに鍛えることにより、
英語を話せるようになるってことです。
子供時代はあくまで、
英語を聞いているだけで習得しやすい、
という傾向があるというだけであり、
大人には大人専用の「英語学習法」が
別に存在しているということです。
大人になってから英語ペラペラになった
楽天の三木谷社長や俳優の渡辺謙さんは、
「大人専用の英語学習法」を使ったからこそ
年齢にかかわらず英語が得意になったのです。
この「大人専用の脳」の使い方次第で、
あなたがバイリンガルになれるかどうかが
大部分、決まってきます。
クリティカルエイジを克服するというのは、
大人の英語学習法を選択するということです。
この記事を読んでいるあなたも、
この「大人の脳」を駆使することによって、
今からでも英語ペラペラになれます。
なので、強く強く思い描いてみて下さい。
「英語を諦める必要なんかない」と・・・!
オトナには、子供にはない能力がある。
先ほど軽くお伝えしたのは
「脳の可塑性」についてですが、
これとは別に、記憶について考えてみましょう。
ちょっと専門用語が出てきますが、
知っておくと勉強に役立ちます。
人の記憶って、大きく分けて
二種類ほど存在しています。
- Declarative Memory
- Procedural Memory
前者は「宣言的記憶」、
後者は「手続き的記憶」と
訳すことができます。
この2つの記憶の区別は、
英会話を学ぶうえで非常に重要な概念なので
ぜひ押さえておいてください!
◆ 宣言的記憶とは?
宣言的記憶(Declarative Memory)は、
別名、”Learning Memory” とも呼ばれます。
これをざっくり説明すると、
「勉強して覚える系」の記憶のことです。
もしくは「意識して覚える」タイプの
暗記型の記憶と言っても良いでしょう。
たとえば僕らは学校のテスト勉強で、
英単語を事前に暗記する際に、
ひたすら単語カードを復習したりしますね。
自分は◎◎を今から覚えるぞー、と
意識して「宣言する」ことによって、
脳にその記憶を焼き付けることができます。
この宣言的記憶で得た知識は、
第三者にも説明しやすいという特徴があり、
人に何かを教える際に役立つ記憶となります。
ただし、これによって得た記憶は、
何もしないとすぐに忘れてしまうので、
何度も復習をし直す必要があります。
なので、受験勉強や資格勉強を終えた後に、
特にこれといった勉強をしない人は、
みるみるうちに実力が落ちていきます。
逆に、意識して使えば使うほど、
すぐに記憶を思い出せるようになるため、
勉強などでは反復が大事、と言われます。
参考記事:
★ 楽して記憶力を高める方法とは?
★ 最強の英単語暗記ツールについて
また、宣言的記憶は、
別に勉強だけに使われるものではなく、
普段の生活でも使われます。
日常生活ではたとえば、
「昨日、彼女が僕に言ったこと」などが
この宣言的記憶に当てはまります。
ちなみに宣言的記憶の中身は、
意味記憶とエピソード記憶に分かれますが、
「単語の暗記」が意味記憶であるのに対し、
「他人のセリフ」には物語要素があるので、
エピソード記憶に分類されます。
何らかのエピソードやストーリーがあれば、
僕らはセリフを自然と暗記してしまうのです。
漫画やアニメ、ドラマのセリフも
そこに具体的なエピソードがあるからこそ、
ふとした拍子に友人に話せるのです。
◆ 手続き的記憶とは?
手続き的記憶(Procedual Memory)は、
別名、”Motor Memory” とも呼ばれます。
これをざっくり説明すると、
「カラダで覚える系」の記憶のことですね。
たとえば僕らが初めて自転車に乗れた時、
いちいち頭で考えて乗り方を学ぶのではなく、
何度も自転車に乗りまくることで、
ペダルの漕ぎ方を習得します。
それゆえ、”motor memory” とも
英語圏では言われているんですね。
もしくは初めてクロールで泳げた時、
机の上で泳ぎ方を暗記するのではなく、
とにかくプールに入って身体を使うことで、
自然と腕や足の動かし方を学びます。
とにかく頭で考えて覚えるのではなく、
カラダを使って「手続き」を繰り返す中で、
自然と覚えてしまうのがこのタイプです。
しかしこの手続き的記憶によって得た知識は、
自分がどうやって覚えたかを説明しづらく、
他人にモノを教えるには不向きとなります。
感覚的な要素が大きいゆえに、
手続き的記憶で技を習得した生粋の職人は、
他者に伝統芸を教えにくいというわけです。
素晴らしい技術を持った熟練労働者が、
弟子達に自分の技を受け継がせる時に、
「目で盗め」「見て覚えろ」と言うのには、
ちゃんとした意義があったんですね。
「ちげえだろ!ここはこうやってこうだ!」
「そうじゃねえ!オメーはわかんねえ奴だな!」
……みたいな罵声が飛び交ってしまうのは、
職人技が宣言的記憶ではなく、
手続き的記憶で習得されるものだからですね。
また、言葉を「話せるようになる」には、
実はこの手続き的記憶を使いこなすことが
重要である、と研究データも出ています。
ネイティブの子供たちは、
頭で考える「宣言的記憶」ではなく、
とにかく喋りまくってるうちに
いつの間にか「手続き的記憶」で
英語を覚えてしまうわけです。
しかし多くの日本人は、
大人になってから英語を学ぼうとするので、
手続き的記憶よりも、宣言的記憶に頼ります。
これは果たして正しい学習法なのか?
本当に英語を話せるようになるのか?
と、疑問に思う方もいるはずですが・・・・
まさぽんはあえて、
「安心して下さい、それで大丈夫ですよ」
と、あなたにお伝えしておきます。
◆ オトナはどうやって英語を話す?
人が英語を話せるようになるためには、
「文法」をしっかり使いこなすことが前提です。
英文法を知らずに、
外国人とまともな会話はできません。
僕はこれまで幾度となく、
英文法の知識があやふやな人を見てきましたが、
英語を話せるようになった人はほぼゼロです。
逆に、英文法のルールを一通り頭に入れた人は、
スピーキングの練習に取り掛かると、
ぐんぐん実力が伸びていく傾向にあります。
大人になってから英語を話したければ、
まずは英文法のルールについて、
しっかり押さえておくことが必要なのです。
ネイティブの子供たちは、
生まれた頃から英語に触れているので、
英文法を「手続き的記憶」で習得できます。
すなわち、英文法の仕組みを
頭ではなくカラダで覚えているので、
半ば無意識に使いこなせるということですね。
しかし、大人になってから
英語を習得しようとする人の場合、
英文法の知識を頭に入れる際には、
どうしても「宣言的記憶」を使います。
大人と子供では、脳の使い方が異なるので、
宣言的記憶を使わざるを得ないのです。
(すなわち、テスト勉強と同じような暗記方法です。)
これは、ワシントンDCにある
ジョージタウン大学メディカルスクールの
マイケル・ウリアム氏の研究によって
明らかになっている理論ですが・・・
「大人が英文法の学習をするとき、最初のうちは宣言的記憶に頼ろうとするが、最終的には子供と同じように、手続き的記憶を使って英文法を習得する」
という傾向があるのです。
分かりやすく言うと、
「オトナの英語学習は、最初のうちは机に向かって英文法を勉強すればいい、そんでしばらくしたら、実際に声に出して子供みたいに英語をしゃべりまくってれば、自然と英語を話せるようになる」
といった内容です。
20年以上も語学研究をしている専門家が、
たまたま英会話の伝道師・まさぽんと
同じようなことを言っているのです。
これは、実に信ぴょう性がありますね。
最先端の科学的研究と、
経験に基づく理論が融合しているのです。
なので、オトナになったあなたが
クリティカルエイジを見事に克服し、
今から英会話を習得したいと思ったら、
一番最初にすべきは、言い訳せずに
「英文法を勉強する」ことなのです。
そしていったん文法のルールを踏まえたら、
次はそれを日常で無意識に使えるまで、
徹底的に練習しなくてはなりません。
その効果的な練習方法が、
「瞬間英作文」という学習法なのですが、、、
一度にたくさん伝えても混乱するので、
本記事ではあえて解説を省略します。
詳しいスピーキングの習得法については、
メルマガ内で面白おかしく解説するので、
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(やる気が出ると評判です。ちなみに購読は無料です。)
英語は大人になってからでも、
やり方さえ間違えなければ、
余裕で話せるようになります。
それは、明確な科学的根拠に基づいた、
「真実」として断言できることなのです。
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コメント一覧 (4件)
初めまして
中学、高校、大学(英文科卒)と英語を学習しましたが、英会話ができません。英会話を習得するために相談させていただきたいのですが、よろしくお願いいたします。
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ずっと英語を学ばれていたのなら、基礎は十分に整っているはずです。その先をどう勉強するかですね。
[…] 具体的な記憶力の科学的根拠については、 こちらの記事やこちらの記事が参考になるかと。 […]