こんにちは。
英会話の伝道師・まさぽんより
本日も記事をお届けして参ります。
(ちなみにアイキャッチ画像はガイアルティア:花言葉は “天真爛漫” です。)
今回は、四字熟語の「天真爛漫」を
英語で言うとどうなりますか?
というテーマでお伝えするのですが・・・。
【天真】
= 天から与えられた自然のままの純粋な性質のこと。
【爛漫】
= 明らかに表われてくる喜びの気持ちのこと。
といったところから、
「純真無垢」「天衣無縫」といった熟語も
近いものとして挙げられます。
そしてこの「天真爛漫」の意味を
英語辞典で調べてみると・・・
- innocent
- childlike
- guiltless
あたりが出てくるのですが、
なんだか少し物足りない気もしますね。
また、この “天真爛漫” を
もう少し悪い意味でとらえると、
- naive
という単語も当てはまりそうですが、
こちらはどうでしょう。
この “naive” という英単語は、
日本語の「ナイーブ」とはちょっと違い、
「世間知らず」といった意味合いが強くなります。
それゆえ、あなたが誰かに
「君ってナイーブだねぇ」と言われた時は、
ちょっとバカにされていると思ってください。
それゆえ、「天真爛漫」という言葉が
果たして本当に “naive” に値するのかを
今からチェックしていこうと思います。
『天真爛漫』の元ネタは?
これ、もともとは日本語ではなく、
古代中国における陶宗儀が著した
『輟耕録(てっこうろく)』という書籍が元ネタです。
それが江戸時代に日本に持ち込まれ、
小説に描かれたり、落語のネタになったのちに、
現代の四字熟語となっているわけですね。
ちなみに原文を一応載せておくと・・・
嘗自寫一卷,長丈余,
高可五寸許,天真爛熳,超出物表。
題雲純是君子,絕無小人。
深山之中,以天為春。
・・・となっていますが、
コレだけじゃさっぱり意味がわからんので、
書き下し文(と現代訳)を掲載しておきます!
嘗て自ら一卷を寫く。
長さ丈余、高さ五寸許りなるべし。
(昔、自分で絵を描いた。長さ一丈ばかり、高さ五寸ぐらいで、)
天真爛漫にして、物表に起出す。
(天真爛漫な描き方で、(その絵は)俗世間を超越している。)
題して云う、純ら是れ君子にして、絶えて小人なし。
(題して云うには、これは君子の作であって小人の関する所ではない。)
深山の中、天を以って春と為す。
(深い山中で、天を仰いで春かと紛う作品である。)
という意味になっております。
つまり、自分で描いた絵の出来映えに対し、
「これは人徳者の作品に違いない!!」
「素晴らしい絵ができた!!」
と、自画自賛で感動を表明しているわけですね。
ちなみに天真爛漫の「天真」とは、
「天から与えられた人の本性」を指しており、
「無邪気」という意味に近いです。
もともと中国の詩人である杜甫が、
この「天真」という言葉を使っていますが、
彼は性善説を唱えた孟子の影響を受けているため、
人の本性を明るくとらえているのです。
一方、天真爛漫の「爛漫」とは、
花が咲き乱れる様子や、光り輝くさまを表し、
転じて人が喜びに満ち溢れる姿を指します。
こちらも褒め言葉として使われますね。
「天真爛漫」の英語は “naive” ではない
それゆえ、本来の「天真爛漫」は、
あくまでポジティブな意味であり、
そこに皮肉の意味合いはないのです。
しかし、“naive” という単語は、
英語圏では主に悪い意味で使われます。
たとえば英語圏の辞書の1つである
American Dictionary の記載を引用すると…
naive:
too ready to believe someone or something, or to trust that someone’s intentions are good, esp. because of a lack of experience
と書かれています。
つまり人生経験の不足が原因で、
誰かを信じ過ぎてしまう性質を持つ、
という意味合いですね。
英語圏って、僕の経験上、
他者には常に一定の警戒心を抱く人が多く、
容易には心を許さない傾向があります。
それゆえ、日本人のように
常に相手にへりくだるような真似はせず、
「他人を信じない」スタンスが
人間関係のベースをなしています。
中国のように、性善説と性悪説を分けたり、
日本のように、誰にでも頭を下げたりは
あまりしたがらない人々なんですね。
そうした文化背景から推察すると、
「天真爛漫」という言葉のニュアンスは
そう簡単には訳せないと判断できます。
なぜならあくまで、
“天真爛漫” という四字熟語は
性善説に立脚しているからです。
なので、あえて訳すとしたら、
- innocent(純真な)
- childlike(子供っぽい)
- guiltless(罪のない)
みたいな、さして深みもない英単語で
表すしかなくなってしまうのですよ・・・。
◆ 英語に訳せない日本語は多い
このように、英語圏には
簡単に訳せない日本語が
他にもたくさんあります。
元々、言葉の意味というのは
その国の文化に由来している事が多いので、
翻訳作業ってけっこう大変なんですよね。
たとえば「お疲れ様!」というのも
英語に訳せない日本語の代表です。
英語圏には、相手の疲れを労って、
それに気を向けるという発想がなく、
あくまで一定の距離感が保たれるので、
「お疲れ様」は英訳が不可能と言われています。
“Good job!” とか、
“I appreciate your work.” とかだと、
ちょっと別のニュアンスになってしまいます。
なので、あなたが将来的に
通訳・翻訳の仕事に携わりたいとか、
外国人に観光案内をしたい、
といった願望を抱いているのならば・・・
日本語を英語に訳し、
英語を日本語に訳す作業には、
「抽象化」
のスキルが必須となることを
よく覚えておいて下さい。
つまり、日本語と英語の2つの言語のうち
共通のニュアンスだけを取り出し、
それに当てはまるものを探るわけですね。
今回の「天真爛漫」という言葉も、
その言葉を成している共通要素を抜き出し、
英語風に組み替える作業が重要となります。
英語・英会話の学習は奥が深いので、
この「抽象 ⇔ 具体」の習熟度に応じて、
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